モザイクの向こう側

※アダルトコンテンツの話です。苦手な方はブラウザバック推奨します。

 

れいも、生まれてはじめてストリップ劇場に行ってきました!!!!!!!!!

 

この出来事は文字に残しておきたいと思ったので、行くまでの流れや感想など、長くなりますが書いていきたいと思います。

 

誘ってくれたのは、趣味の合うオタク友達P。

定期的に面白かった映像作品のサンプル動画を送り合い、あの表情が刺さる、このセリフが良い等の感想を述べ合う仲だった。

(何の映像作品かは、まあ察してください)

 

 

Pさんにはストリップ好きの友達Yさんがおり、アイドル現場終わりにYさんを紹介してもらった。(PさんはYさんに何度かストリップ劇場に連れて行ってもらったらしい)

その際、私の好きな女優の話題になった。

好きな女優、というか、大好きな映像作品の主演を務めていた女の子。

(もう10年以上前の作品だけど、人におすすめを聞かれたら必ずと言っていいほどこの作品を薦めるくらい大好きだった)(気になる人は個別で聞いてね)

 

なんと、彼女は現在ストリッパーをやっており、Yさんはその子のショーを観に行ったことがあるという。

 

なんだか時代を越えて点と点が繋がったようで感動した。

 

えーいつか一緒にストリップ行きましょうよー!キャッキャッ!なんつってしばし盛り上がり、解散。

 

後日、Pさんから「れいちゃんの好きな女優が浅草のストリップ出てるらしいぞ!3人で観に行こう!」と誘いを受けた。

 

なんていうか、今度遊ぼうよー!キャッキャッ!みたいなノリはよくあるけど、実際に予定提示して連絡くれることってすごく嬉しいですよね。

 

行きます!と即レスし、あれよあれよと日程が決まり、まじで観に行くことになった。

(諸事情ありYさん欠席の為、Pさんと2人で行くことに)(今度3人でリベンジしましょうね)

 

えーーーー、私、ストリップ観に行っちゃうんだ、、、、。

 

アイドルやバンドの現場にはよく行くが、アダルトコンテンツを鑑賞しに劇場まで足を運ぶ、というのが初めてだった。アダルト界隈ではストリップ劇場のこと現場っていうのかな?どうなんですか?

 

もうそこからはドキドキワクワクしながら毎日を過ごした。

あの子に会えちゃうんだ。ずっとずっと画面越しに見てきたあの子の、あんなところやこんなところを見られちゃうんだ。画面越しでは見られなかった、モザイクの向こう側まで。

 

こんなこと言ったら怒られるかもしれないが、今大好きな某黒髪眼鏡アイドルにはじめて会いに行くときもこんな気持ちだったなあ、等思い出して感慨深くなった。(彼もたまに目元モザイク処理されるし…)(怒られろ)

 

当日、友達はストリップの前に別現場があるらしく、開場後に着くから先に中入ってて!それか外で待ってて!とのこと。

流石にストリップ劇場に1人で入るのは怖いから外で待ってようと思い劇場まで向かうと、私と歳の近そうな女の子が何人か入場列に並んでいるのを見た。

おじさんが多いイメージだったが、女の子複数人も、カップルなのかわからないが男女で喋りながら並んでいたり、色んな世代、色んなタイプの人が並んでいた。

 

あ、なんか意外と入りやすそう!と安心し、ソワソワしながらも1人で入場することに。

 

入り口にはフラスタがあり、目当ての女優さん宛てのものもあった。

今日、本当にあの子いるんだ、、、、。

 

入場窓口は古びた映画館のような雰囲気で、おじいちゃんが受付をしてくれる。

一般は6000円、女性は4000円で入場できるらしい。(他にも学生割やシニア割も有)

こういうときなんて言ったらいいの?みんななんて言って買ってるの?女性って言ったほうがいい?言わなくてもわかる?いや言わなきゃわからないかもな?

色々考え、声を振るわせながら「女性割1枚ください!」と言ってチケット代を出したら無言で入場券を渡してくれた。こんなサラッと受付してもらえるなら、いらん緊張だったかも。

 

女子トイレにメッセージノートがあるよ!と友達から聞いていたので見に行った。ショーの感想やストリッパーへのメッセージが書いてあるらしい。

 

丸っこい文字で、演目の感想やら愛のこもったメッセージがたくさん書いてあった。言い方が難しいけど、いい意味で“女オタってこうだよな”と思った。

 

自由席とのことで、やっぱりセンステで脱ぐのかな!?と思った私はセンステが見やすいところに座った。(メインステージ、花道、円形センステがある)

 

フロアではスマホ等撮影機器は取り出し禁止らしく、私は読みかけの小説を読んだりちょっと寝たりしていたところで、友達と合流。

 

緊張する〜〜!と話していたところで暗転。

うわー、ついに、始まる。

パッと照明がついたら、センステと花道に踊り子の方々が既にスタンバイしており、演目開始。

 

衣装は、なんていうのこれ。ビビットピンクで、ショー用のフリフリヒラヒラ多めランジェリー風衣装。ラブリーなサンバみたいな風貌。ラブリーなZ◯ZY。かわいい。

 

照明がついた瞬間に目当てのあの子を発見した。

ハーフツインでピンクの髪飾り。かわいい。アイドルじゃん。

怒られちゃうかもしれないが、これを読んでるみんなが分かる人に例えるとすれば、パン◯フェ◯リーのぱ◯こちゃんに近い系統。とにかくラブリーでフリルとピンクが似合う。見てたら酔ってしまうくらいぶりぶりのぶりっ子だが、愛嬌たっぷりの笑顔がとにかく可愛い。“可愛い”が溢れて胸がいっぱいになる。多幸感まで与えてくれるタイプの可愛さ。

好きな作品からはもう10年以上経っており、髪色もメイクも全然違うので、ぶっちゃけ面影はあまり無かった。

でもかわいい。これはこれでかわいい。

 

いや待て、あれから10年以上ってことは恐らく三十路超えている。それでいて年齢を感じさせない可愛さ。すごい。

(調べてみたら34歳らしい。すごい。)

 

バサバサに長いまつ毛でいっぱいの目をふにゃんと垂れさせてにこにこ微笑みながら踊っている。なにこれ、アイドルじゃん。

 

あっ、こっち見た。絶対今私のこと見た。私のこと見て笑ったもん。絶対そう。かわいい。

 

ダンサーさん含め、踊り子の方々はかなり年齢層が幅広く見えたが、みんなスタイルが良くて身体が引き締まっている。すごく綺麗。

 

でもやっぱり目当てのあの子が輝いて見える。

目線が上手い。愛おしいと思わせるような魅せ方を知っているのだろう。

 

私が知っていたあの子、というか例の映像作品の主演のあの子は、可哀想な役柄だった。そこが好きだったんだけど。

でも私はあの子の困り顔、泣き顔、怯えている顔ばかり印象に残っていたからか、ステージ上で堂々としている姿がより一層綺麗だと思った。

 

ステージのポールにぴょんっと飛びつき、無邪気な笑顔で振り向く姿がとっても眩しくて可愛かった。

 

ていうか、今のところ全然エロくない。

心の中の男性器を奮い立たせるつもりで来ていたが、純粋に綺麗なお姉さんたちのダンスショーを楽しんでいた。

 

そんなこんなしているうちに、あの子が背中を向けてブラホックを外した。いよいよ…!

キャーー!!と友達の肩をバンバン叩いて燥いでしまった。

他の踊り子が捌け、あの子のソロ演目が始まる。ビビットピンクのフリルが連なったショールを肩にかけ、花道に立って振り返った。

 

女神のように神々しくて感動した。

 

凄い、、と思ったのが、肩にふわっとかけているショールが、絶妙な加減でバストトップを隠している。自然に見せて、色々考えているのだろうか。

 

ショールをずらして上半身が全て見える状態になったとき、なんとなく忘れかけていた彼女の体の特徴を思い出した。そこは今も昔も変わっていなかった。

ちょっとだけ、懐かしい気持ちになれたことが嬉しかった。

 

彼女は回るセンターステージに寝転がり、フリフリのショールを体に纏って脚をパタパタさせながら頬杖をついて客席に笑顔を振り撒いた。

 

すっっっごく綺麗。妖精さん?天使?

ボディソープのCMみたいな絵面、といえば伝わるだろうか。いやらしさが無い。(それぞれの家庭環境によるが)多分お母さんと一緒に見ても気まずくはならない。

そのくらいクリーンかつ華やかで、優しい。

 

彼女はZ◯ZY色のフリフリTバックを脱いで手に持ち、頬擦りをした。自分の脱ぎたてTバックに頬擦りって冷静に考えれば意味がわからない状況だが、それは花の香りを楽しむ妖精さんのように見えた。

 

あの子が今目の前にいるなんて、、など懐かしい気持ちを引きずりながら観ていたら、彼女は片脚を真っ直ぐ天井に向けた。

 

ま、ま、、!局部だ。

ごめんなさい。そこは初めて見た。

ずっとモザイクで見えなかった場所を肉眼で見てしまった。そうじゃん、これを見にきたんじゃん。

彼女の上半身だけ見て色々知った気になっていた自分の安直さに恥ずかしくなった。

 

膝もつま先も曲げず伸ばした脚は全くブレず、それでいて彼女の表情も柔らかくにこにこ笑ったままだった。

 

体勢を変えるのも、体の動きがすごく滑らか。

こういうの、服を着ていたらなんとなく誤魔化せるだろうけど、肌という肌を全て曝け出している状態でここまで綺麗に見せられることってかなり難しいんじゃないか。わからないけど。

 

鼻の下を伸ばす暇など無く、スゲーーと感動しているうちに彼女の演目は終了。

 

言葉を失っている間に2景目が始まる。

(演目のことを“景”というらしいです)

 

2景の踊り子さんは友達イチオシのイケメン踊り子らしく、女体を武器とするのにイケメン系????と色々想像を膨らませていたら、刈り上げ前下がりセンターパートのカウボーイ風イケメンが登場。

えっ?めちゃくちゃハンサムじゃん。ここから脱ぐの???

 

カウガール風のダンサーたちを誑かしている姿は完全に男。

小柄ではあるけど、キリッとした目線やキレキレのダンスがめちゃくちゃかっこいい。ていうかダンスが上手い。

 

ここからどうやって脱ぐの?(2回目)

 

カウガールが退場したら、メインステージにセットされたウエスタンドアの後ろで脱ぎ始めた。脱ぎ方までイケメン。イケメンがベルトをガチャガチャと少々雑に外す姿、これ女は絶対好きなやつじゃん。好きでしょ?

脱いだパンツを指でくるくる回してバーンと飛ばしてキメ顔。はい、イケメン。

 

この方は素肌にボヘミアンなショールを身に纏い、大股でズカズカと歩いてセンステに向かう。所作の一つ一つがイケメン。

 

腕や背中、太ももにいくつか刺青があった。

ちょっとアブナイ雰囲気がまた格好良い。

 

頭のハットに手を添えてショールを捲り、体を見せた。

そこにあるのは確実に女体なのに、イケメンだから頭が混乱した。

でも顔と体がちぐはぐとかではなく、なんだろう。私の固定観念にある女!男!とかそういう次元の存在ではないと思った。

 

踊り子さんは手に持っていたハットを不意にステージから落としそうになり、最前の観客がキャッチしてステージに置いたところ、観客に向けて口パクで「サンキュー」と言いウインクした。

イケメンすぎるだろ、、、、、、、、。

リアコになりそう。

 

3景冒頭は試着室サイズのボックスにセクシーなランジェリー姿の踊り子が4人入り、バチバチの照明の中で踊っていた。

ブラックライトが演者に当たると、ランジェリーの蛍光部分が派手に光ってダークでお洒落な雰囲気。

 

2景のイケメン踊り子はここでダンサーとして出演していたが、あんなにイケメンだったのにランジェリー姿がとてもセクシーでこれまた混乱した。

いやあ、ボーイッシュな女の子のランジェリー姿ってなんでこんなに良いんだろうか。イケメンな姿を散々見ていたから、その反動もあり、すごくすごく妖麗で刺激的だった。

 

この時メインだった踊り子さんはグラマーな方なんですが、下着のフロントホックを外したら大きな胸がボロンと現れて、おお…と声が漏れてしまった。フロントホックってこんな魅せ方があるんだ…。

そして紐パン。片方ずつ、ゆっくり解いてそれを手首にくるくると巻きつけて結ぶ所作がとてつもなく色っぽい。

フロントホックを派手に外したり脱いだ紐パンを手首に巻きつけたり、リアリティは感じないが“脱ぐ”ことをエンタメとして魅せてくれていた印象。

あと、やっぱり大きな胸って見応えがある。胴体に付いた2つの半球体が、何故こんなにワクワクさせるのか自分でもよくわからないけど。

 

そんなこんなあり、ラスト7景まで観覧。

 

終わった瞬間、あの子可愛かった!凄かった!と大盛り上がり。

 

公演は1日4公演まであり、一度入場券を買ったらそのまま4公演見続けることが可能らしく(コスパ良すぎ問題)

次の公演も見ちゃう!?となりそのまま劇場に残った。

 

目当てのあの子の話になり、

あの子の体の特徴を思い出したんですよね、と話したら友達に「進◯ゼミでやったところだー!現象じゃん」と言われて納得した。

私の持ち合わせていない語彙力で代弁してもらえるの、とてもありがたい。

 

座席移動も自由なので、次は後ろで立ち見することにした。

 

少し距離は遠くなるけど、全てのステージを見渡すことができて照明もわかりやすい。

 

照明やステージ演出込み、より“ショー”としての鑑賞を楽しむことができた。

 

全編通して、想像していたよりずっとムラムラするとか興奮するとか性的な感情がほぼ湧かなかった。

性行為を連想させる動きが少ないのもあるかもしれない。
西洋の裸婦画を見ている感覚に近いのか。
ヴィーナスの絵画を見てエッロ〜wwとか言う人ってなかなかいないじゃん。(強いて言えば、3景の演目はエロかったのかもしれない。エロいというより妖麗だったが)

私は、綺麗な女性たちの“作品”として鑑賞していた。

 

 

 

 

ある踊り子がセンステの上で仰向けに寝そべっていたとき、呼吸に合わせてお腹がぷかぷかと膨らむのが見えた。

ドキッとした。

前提として、私はアイドルを鑑賞するときもそうだけど、あまりにも綺麗なパフォーマンスを見ると、演者が人間であることを忘れてしまう。

作画が綺麗なアニメだとか、よく出来た人形を見ているような感覚になる。今回もそうだった。

でも、彼女が呼吸していることが目に見えてしまって、そこにある女体が裸婦像でもラブドールでもない生身の人間だと、一気に実感が湧いて緊張した。というか少し怖くなった。

 

私は綺麗なものだと見ていたけど、ここにいる100人以上の観客が全員そう思ってるとは限らないだろう。色々な感情が混在していると思う。そもそも私だって最初は下心があって観にきたわけだし。

彼女は円形のセンステで寝転がり、じっと天井を見つめている。

一糸纏わぬ姿で色々な角度から視線を浴びて、どんな気持ちなんだろう。

だってここでナイフ持った人が襲ったら一発じゃん。怖くないのかな。ていうかお腹冷えないのかな。恥ずかしくないのかな。いや、それを覚悟のうえでステージに立っているのだろう。でも絶対怖いよな。

美学として見せていない部分を勝手に覗いたり想像して決めつけるのは良くないとわかってはいるものの、余計なことをぐるぐると考えてししまう。

ただ金払って消費するだけの自分がこんなこと考えたところで分かるはずがないんだけど。

それに、もし彼女が今恐怖を感じているとすれば、ここにお金を払って観に来ている私は“恐怖を与える側”に加担しているも同然かもしれない。この一瞬の間は、どういう目で観ればいいのか少し迷ってしまった。

 

そんなこと考えてる間に彼女は脚をパカっと開き、ポーズを決めた。

色々余計なことを考えてしまったけど、完成された彼女のパフォーマンスはとても綺麗だった。

彼女の気持ちは私にわかるはずが無いし、勝手に気持ちを勘繰って心配するのは、この舞台に立つ彼女の覚悟を舐めて考えてしまっているのではないか、と少し反省した。

少なくとも、彼女がこちらに魅せようとしてくれているのは肉体美。それをちゃんと、受け取りたいなと思った。

 

 

ラストは全演者が宝塚のような背負い羽根とふわふわの衣装で踊った。

目当てのあの子はヘッドセットマイクを付けて、踊り子一人一人の名前を読み上げ締めの挨拶をした。

ぶりぶりに可愛いのにこんな大役任せられちゃうんだ。可愛いうえに頼もしい、ぱ◯こちゃんじゃん、、、(怒られろ)

華やかで綺麗で可愛かった。

かわいい。かわいい。かわいい。

色々なことを考えさせられたけど、最後のあの子の眩しい笑顔で多幸感いっぱいになった。

 

終演後、友達はイケメン踊り子の生写真を買ってほくほくの笑顔を浮かべていた。

 

演目の衣装がさー!あのときの絡みがさ!あのとき絶対こっち見てた!レス貰った!等、友達と交わす会話はアイドル現場とそう変わりなかった。

 

他人の裸を観に行く、ってあまり大声で言えることではないし、肯定的に考えることが難しい人もいると思う。

だけど私は観に行って感じるもの、受け取るものが沢山あったし、踊り子さんたちを応援したいと思った。また絶対観に行きたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

というか、ストリップを観に行って、日頃の自分にこじつけて考えた独り言です。

私は表舞台に立つ人たちを何人か応援しているけど、たまに“この人って本当にこんなことをやりたくてここにいるのかな?”と考えるときがある。

元アイドルのタレントがテレビで「本当はあんなことやりたくなかった!」等、暴露しているのを見ると少し不安になったする。

気温にそぐわない衣装、数時間に渡り動きっぱなし声出しっぱなし、立ちっぱなしで代わる代わる現れる素性も分からない人たちの機嫌を取り、ずっと監視される毎日。もちろんやりがいを持ってやっているとは思うけど、精神的にも体力的にもかなり負担がかかっているとおもう。私は彼らのことが好きだからお金を出して会いに行くけど、それって彼らに負担をかけることに加担してるのではないか?と思ってしまう。

私が応援している人たちに、それを苦痛と言ったり態度に出す人はいない。むしろ楽しそう。でもそれは“楽しそう”ではなく、“楽しそうな姿を見せてくれている”だけなんじゃないか、とか。

心配して寒くない?暑くない?疲れたよね?無理しないでね、と言いそうになるが、それって相手の楽しそうに振る舞う努力を軽視しているのではないか、と思って言えない。意識が緩むとたまにポロッと言ってしまうが、時が過ぎたらすごく後悔する。

元々の私の性格上、人目に立つことが苦手だから表舞台に立つことを仕事にしようだなんて思ったことがない。だからその選択をすることに共感することもできない。演者と観客という隔たりがある以上、人としての気持ちを理解することはできない。悲しいけど。当たり前だけど。

 

建前かもしれないが、表舞台に立つ理由は人それぞれ、沢山あるらしい。

憧れのあの人みたいになりたい、自分を変えたい、たくさんの人を笑顔にしたい、自分の存在価値を見出したい、どれを聞いても共感することはできないが、その人たちが届けてくれるものは、確かに私の心を鮮やかに彩って、幸せな気持ちにさせてくれている。

表舞台に立つこと、色々な背景があるかもしれないし、ただ消費する立場の私はそれらを全て知ることは出来ない。でも、彼らが与えてくれた魅力的で綺麗なものたちや幸せを、しっかり受け止めて大切に抱えたままこの先も生きていきたいし、こんなに素敵なものをあなたに貰ったんだよ、あなたに教えてもらったんだよと、伝えていきたい、と改めて思った。できる限り、同じくらいの彩りと熱量を残したままで。

伝えると書いたけど、もちろんそれが必ず相手の為になる、なんて自惚れた考えはしたくない。ただ私の罪悪感を減らす為の、自分に向けたおまじないに過ぎないかもしれない。でも、私にできることはこれしかないと思っている。非力な自分に悲しくなるけど。大好きな人がその選択をした沢山の理由の中の一つに、私に与えてくれた幸せが含まれていたらいいな、と密かに願っている。